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(5月16日月曜日)


映画『ひそひそ星』初日舞台挨拶
園子温監督「25年机の奥にしまいこんだ想いを語る。」


14日、東京・新宿シネマカリテにて、映画『ひそひそ星』の初日舞台挨拶が行われ、園子温監督と本作の主演とプロデューサーを務めた神楽坂恵が揃って登壇した。

園監督は「今日はこんなに沢山の方に観に来ていただけてすごく嬉しいです」と喜びの挨拶。神楽坂も「あっという間に公開を迎えた気分です。今日はどうもありがとうございます」とそれぞれ挨拶した。
 
園監督が本作の絵コンテを作ったのは今から25年も前。それを今実際に映画化しようとした理由について、監督は「当時、もともとこの映画で商業映画デビューをしようと考えていました。でも、地味でちょっと変わった内容で、自主映画として自分でお金を集めて作ろうと思ったけど、うまくいきませんでした。ずっと家の机の奥にしまっている状態になってしまっていたんだけど、全ページ全カット、その時に書き上げていたものをもとに作ったから、製作に25年かかったということではないんです。それが、自分の制作会社として立ちあげたシオンプロダクションの第1作として何を作ろうかと考えた時に、これにしよう!と。」と経緯を語った。

神楽坂は、「『ひそひそ星』の絵コンテのことはずっと知っていて、家を引っ越すたび、スゴい量の絵コンテが入った段ボールを大切に持っていたんです。」いつこの映画を撮れるんだろう・・・と思っていたから、今回、主人公の鈴木洋子役をやれるのはすごく光栄でした」と、監督の伴侶だからこそ知り得るエピソードと自身の想いを明かす。監督は、「本当はこの作品で商業映画デビューをしたかったけど、過激な監督として知られるようになってしまいました。だから、これからがゼロの出発、これから自分の映画の道を歩きだしたいという気持ちです」と想いのたけを語る。
本作でプロデューサーも務めた神楽坂は、そのことについて「そんなに大きなことはやってないけど・・・お金のこととか女優としていつもは見れない大変さを知ることができて、その中で監督の想いを大事にしつつ作っているということを知って勉強になりました」と振り返る。謙遜する神楽坂に、監督は「そんなことないでしょ」とプロダクションの社長として裏方で大活躍した神楽坂を労いつつ、「撮影中は、完全に女優として集中してもらって、プロデューサーとして動くのは邪魔になっちゃうから、そのことは撮影後にと分けてもらうようにはしました」とフォローをする。
ロケ地が福島であることについて、「『希望の国』でも福島で撮りましたが、今回は風景論として、風景に物語を語らせたいと思っていました。その頃に風景をずっと撮っていて、“こういうものはどうすれば映画になるんだろう?”とずっと思ってたんです。そのきっかけがなかなかなかったけれど、『ひそひそ星』の台本を読み返してみたら、“これは僕のやりたかった福島にぴったり当てはまるじゃないか”と気付いたんです。福島の風景に語らせるということがこの台本ならできるな、と」ときっかけを語る。

印象的な日本家屋スタイルの宇宙船について、「スタジオにセットを作ったんですが、100年の映画の歴史の中で今までに絶対にない宇宙船を作りたかったんです。25年前の当時はお金もなかったから絵コンテに外観までは書かれていないんですが、今回は日本家屋の宇宙船として徹底してやりました。」とこだわりを明かす。
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新宿シネマカリテロビーには、『ひそひそ星』にちなんだ電飾バナーや鈴木洋子の衣装が置かれ、イメージ画の特別展示も行われている。
さらに、「当時はすごく野心的で、とにかくそれまでに映画でやられていないことを探しまくって、それを中に入れたいと思っていました。観たこともない映画を作りたいという当時の“彼”(25年前の園監督自身のこと)の熱い想いで、なるべく彼の意向に基づいて、絵コンテもほぼ忠実にやっていこうという想いで再現しています。」と当時の監督自身に寄り添った制作となったと振り返る。続けて、登場人物の声が“ひそひそ声”であることについて、「意味というよりも、音楽的な映画にしたかったという想いもあるんです。それから、大きな声で物事を言えなくなるんじゃないかと当時感じていたこと、“ひそひそ”としか話すことができなくなった世相という意味合いもあります」と説明する。
 
最後に、園監督は「こういう映画に沢山の方に集まっていただけて感謝しています。こんな地味な映画にでも人は沢山来てくれるんだぞと証明したい気持ちもあります」と挨拶。神楽坂は、「思い入れがあって、撮影後の編集も含めてすごく時間を使ってきた作品なので、公開を迎えた実感がないんですが、本当にありがとうございます」と締めくくった。

【ストーリー】
主人公はアンドロイドの女性。鈴木洋子“マシンナンバー722”は、昭和風のレトロな内装の宇宙船レンタルナンバーZに乗りこみ、静寂に包まれた宇宙を何年も旅している。いくつもの寂しい星に降り立っては、すでに滅びゆく絶滅種と認定されている人間たちに日用品などの荷物を届けるために……。

映画『ひそひそ星』
監督・脚本・プロデュース:園子温 
プロデューサー:鈴木剛、園いづみ
企画・制作:シオンプロダクション
出演:神楽坂恵、遠藤賢司、池田優斗、森康子、福島県双葉郡浪江町の皆様、福島県双葉郡富岡町の皆様、福島県南相馬市の皆様 
撮影:山本英夫 照明:小野晃 美術:清水剛 整音:小宮元 編集:伊藤潤一 衣装:澤田石和寛 制作:山内遊 助監督:綾部真弥 キャスティング:杉山麻衣 ラインプロデューサー:船木光
配給:日活
公式HP:hisohisoboshi.jp

映画『ひそひそ星』『園子温という生きもの』は、
新宿シネマカリテ他にて大ヒット公開中! 
ワタリウム美術館にて「園子温展 ひそひそ星」も絶賛開催中!